2010.11.02 Tue
サイデリアルとトロピカル
星座を作りました。
おひつじ座



その上を、惑星たちが通過していきました。グルグルグル

それを見て、天文学が生まれ、占星術が生まれました。
占星術家は、12星座を30度ずつに区切って、いろんなことを占いました。
そのころ(2千数百年前)、太陽がちょうどおひつじ座に入るころ、
地球上では、昼と夜の時間が同じでした(春分の日)。
天文学者は、考えました

空を毎晩見てっけど、どっからがおひつじ座か、わかんねーし。
いちいち観測するの、面倒ーだし。
おれ、もっとわかりやすいのがいー人だし。
そこで、サクっと、春分の日に太陽がある場所を
おひつじ座のスタートと考えりゃいーじゃん、ってアイディアが出てきて、
そこを起点にして、そっから30度ずつ区切ってって、
残りの11個の星座の位置をひっぱることにしました。
これを思いついた人は、今でもヒッパルコス

これだと、いちいち星座の位置を観測しなくてもいいし。
この、地球上の季節の始まり(春分の日)で星座を区切って、
太陽の位置で「おひつじ座なう」とする考え方を、
「トロピカル星座帯」と言います。
そうじゃなくて、天空の星座の位置を生真面目に観測して、
「おひつじ座のある場所がおひつじ座」と考える方法を
「サイデリアル星座帯」と言います。
むか~し昔、この2つは同じでした。


地球の季節はちょっとずつちょっとずつ進んでいき、
サイデリアル星座帯とトロピカル星座帯は、どんどんずれていきました。
やべぇと思ったインド人

インド暦制定委員会を作って、どんだけずれてんだか調べました。
委員長のラヒリさん

実際の星座とずれてないホロスコープの表を作りました。

サイデリアルのインド占星術と、トロピカルの西洋占星術では、
惑星の度数が23度ずれます。アセンダントの度数も23度ずれます。 → 図解
そして、西洋占星術からやってきたインド占星術一見さんたちは、
だいたいみんな、びっくりします

雑誌で「うお座

実際には、
太陽


そういう意味では、インド占星術(サイデリアル)のほうが、
よりリアルなホロスコープ。
けど、トロピカルを使って2000年以上研究を深めてきた西洋占星術も、
サイデリアルとは違った進化を遂げている。これも事実なんだと思う。
むか~し昔、2つのホロスコープがありました。
この2つは同じでした

今、この2つは23度もずれている。
それを、それぞれ、進化させていくのが現代人のぼくらなのさ




西洋占星術のアセンダントと、インド占星術のラグナ
アヤナムシャ
| 西洋占星術との比較 | 17:47 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑
「宮」と「星座」
先日波木星龍先生がこのことについて見解を出しました。
http://blog.livedoor.jp/namikiseiryu/archives/3716354.html
一方とある方はサイデリアルが絶対だというのであれば、ファーガンやラヒリなどの計算者によって変化する矛盾を説明できなければおかしいし、30度で区切った宮、という概念であるならばトロピカルでもサイデリアルでも優位性は同じと解釈しなければならない、と述べています。
言ってしまえばURL先の考え方と一緒です。
あれは星座ではなく宮であるということです。このことに気づかずにサマーディさんに対して当初生意気な口を利いてしまったわけですが、今時点での認識としてはやはり30度ずつの宮である、という認識で正しいと思われます。
そうでなければ各宮の手法をにてイングレスした瞬間などが説明できなくなり、これは私の記事でも書いたことです。
そして東洋系は黄経を規準にしている、というコンセンサスが存在しますが、実のところ節月による区切りは(間違っていたら済みません)北斗七星を規準にしたものであり、元来東洋系もサイデリアルの面影がある事になります。というより、派閥としてはサイデリアルです。
http://www.namikiseiryu.com/sichu/06.htm
そして記述通り七政暦はどちらかと言えば黄経規準であるため区分としてはトロピカルに準拠することとなり、七政四余は乱暴に解釈すればトロピカル占星術であると定義することが出来ます。
一方トロピカルは間違っているか議論ですが、これは別に間違っちゃいないよ、と私は考えます。それが何年続くかは分かりませんが、メジャーなハウスシステムで運用されうる限りハウス割りも比較的矛盾無く収納できます。
ところがギリシャ式のホールサインで行った場合は、割とハウスがずれ込んでおかしな事になります。
では説明できないのかと言えば、これが割と説明できてしまいます。
先日Mokuzai氏とやらが行っているトロピカルインド占星術的な、トロピカルでのチャートを作ってインドの技法で見てみました。
そこで発見したことは、今まで通りトロピカルは内面が顕され、サイデリアルでは現実側面が出る、という事です。
サビアンで検証し、今回の実験で検証し、また塾の投稿からも意見としてこれが確認できます。
トロピカル支持者はトロピカルを絶対視しますが、それならば夏至点や冬師点などのチャートも「牡羊座として」見てみるべきです。宮であるならばそこにも意味があるとしなければおかしいでしょう。
もちろんこの場合、歴史的には全く何の論拠もない鑑定方法になってしまいます。
私はどちらにも意味があると考えますが、カウンセリング向きなのはトロピカル、現実的な指標にはサイデリアルと考えるとスムーズです。
しかしどちらでもそれ専用の技法があり、技法あっての成立と考えますので、傾向を示すだけで実際にはどちらにも優位性があります。
私はサイデリアルに変更して惑星アスペクトを読みつつジャイミニの手法を使う、という一見して邪道なやり方を時々行いますが、分かってやっているかどうか、という事だと思います。天体のアスペクトはどちらでも不動です。
ちなみにギリシャ式で見た時、トロピカルの技法が通用しなくなるのは元々ギリシャではサイデリアルだったから、というやや荒っぽい論が展開出来ますが、ギリシャの技法が完全に再現されない以上、これを言うのは余り意味がある行為とは思えません。
http://www.astro9.com/seiza2.htm
従ってこの様な記事の場合、各種占術で成立した技法を度外視して見て居ることになりますので、論としてもやや厳しいものがあります。
インドの技法でトロピカルを断じるのは軽率と言わざる得ません(と言いつつ私は一応実験していますが)。
http://www2.odn.ne.jp/~cba90330/genkou/html/page2206.html#
先鋭的な技法を多く開発した石川源晃氏の記事です。
裏が取れませんが、
>星座の大きさがまちまちで、取り扱いに不便でしたので、古代バビロニア後期の紀元前3世紀ころまでに30度刻みの12区画の暦が使用されるようになりました。
とあります。これは実星を規準とした帯であったことを顕す証拠となります。
しかし良く考えて見ると、この星座帯、西洋と東洋でもかなり違います。そしてその区分が88に分断され、トレミー48星座と呼ばれるようになるまで紆余曲折が有ったはずです。
従って恒星規準だから正確と言うよりも、どの季節で太陽光が届き、その瞬間を0度と定めたか、いや違う、太陽ではなく恒星の位置から地軸の傾きを見るのが正しい、と言う違いの論争を延々とやっていることになります。
そしてその恒星の規準も「国によってまちまち」だったりします。
子(十二支)の位置が水瓶座だったりするわけです。こうなるとどれが正しい、等と言う話は馬鹿馬鹿しくなってきます。使用用途がそもそも違いますし、元々トロピカルがこの規準からして単なる暦の区切りとして使用されている事を考えれば、星座など元々度外視していたと考えるのが正しいと言えます。
しかしこのトロピカルは、黄経という天文学上の規準において正しいのです。
>古代の文献を研究する人がバビロニア式の暦を主張するのは当然としても、現在のサイデリアル方式の暦は30度刻みという形式だけはトロピカル方式の暦(春分点移動式の暦)であり、春分点のみを古代の場所に戻すという中途半端な主張です。
と言う事からも分かるように、ここからはインド占星術の歴史の薄弱さについての指摘も入ります。インドに昔からティティなどの思想があった、ナクシャトラがあった、という話は別段不思議ではありませんが、メーシャを最初とした黄道十二宮がインドで成立していた、とするのはある種国枠主義ではないのか、とすら思えます。もしインドが最初のホロスコープの歴史を持っていたのであれば、30度区分の歴史はインドが作ったことになり辻褄が合わなくなります。
しかしここは主題ではなく、上記の石川氏の指摘です。
本当にサイデリアルというならば実星座帯を使わなければその理論が崩壊すると述べています。
これは理論上全く正しいです。
ですからサイデリアルの優位性というものは、ここを考慮する限り絶対優位ではない事が分かります。
最初に述べたとおり、トロピカル宮とサイデリアル宮で生まれた技法を各自使って行くのが占術家の成すべきところだと思われます。
実星座で機能するかどうかはいつか試してみたい事です。
※このコメントは色々突っ込みどころ満載かも知れませんので、注意して読んで下さい。
| エレキ | 2010/11/02 23:02 | URL | ≫ EDIT