2022.05.14 Sat
ラオ先生って人物を知るために
「占星術が明かすカルマと輪廻転生」(KNラオ著、清水俊介訳、日本ジョーティシュ出版、2700円+税)
ラオ先生は熱心なヒンドゥー教徒で、ある意味、インドの伝統文化の伝道者という宗教的立場で
インド占星術の発展に携わってます。
そんなラオ先生が、押しつけがましい布教の姿勢は一切示さず、
ただ、インド占星術における宗教と占星術の関係を示した貴重な一冊です。
もともとは"Karma in Hindu Astrology"「ヒンドゥー占星術におけるカルマ」って本だったのが、
好評だったから"Rebirth in Hindu Astrology"「ヒンドゥー占星術における転生」を書いて、
第一部&第二部ってことで合体させたのが、この本らしい。
だから、第一部と第二部で色合いがずいぶんと変わってます。

正直、読みにくい。
ヒンディー語の単語がどっさり出てくるし、
ヒンドゥー教のカルマの説明とか経典が引用が延々と続き、
著者の考え方、時事ネタ、そして愚痴っぽい意見や皮肉。ついていくのが大変です。
翻訳の方針もあんまり定まってないし、占星術の技法も少なくて、
途中でつまらないって感じる読者も出てきそう。
端的に言うと、第一部は、
ラオ先生がヒンドゥー教徒の立場から世界中の占星術家たちに語り掛け、
近代ヒンドゥー占星術の現状を憂いてる、って感じの内容です。
そういう意味では、ラオ先生の生きざまをうかがい知るために、最適な代表作。

こっちは読みやすい。
第二部は、ラオ先生がインド占星術家の立場から輪廻転生にメスを入れて、
転生ってやつを読み解いていこう、って姿勢がはっきりしてます。
翻訳者の方針もある程度決まってきてるらしく、第一部よりも文章がスムーズ。
ホロスコープの説明も多くて、技法として勉強になることも後半にはいくつも書いてある。
ぜひ、前半でくじけず、後半まで読み進んでみてください。

ラオ先生のやさしいインド占星術
ラオ先生のインド占星術 -運命と時輪-(初版)
星を見つめる聖者たち
ラオ先生のインド占星術 -運命と時輪-(第二版)
天の羅針盤
占星術が明かすカルマと輪廻転生
ジェイミニのチャラ&マンドゥーク・ダシャー
| 書評 | 23:17 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑
清水先生が昨年末の時点でブログにも書いていらした著作ですね
個人的にもかなり興味があったところに踏み込んだ内容なので
飽きずにガッツリ読了できそうです
自前ブログでも自分のD150をネタにして記事にしたり
D12の判読について考察してみたり
実験的な証明を試みてきました
ラオ氏にお会いすることが悲願でもある自分には刺激的な一冊になりそうです
| アヤスケ | 2022/05/15 09:41 | URL | ≫ EDIT